ルワンダ回想録⑩現地の人に比べると、そして東京での生活に比べるとスーパーリッチに見える件
2016年12月12日の日記
アフリカで働く外国人というのは、1、外交官(大使館関係者)2、開発援助関係者(国際機関・国際NGO)3、ビジネスマン4、現地移住者 。大体がこの4種類に属する。
アフリカに居て、自分が自分の立場でできることをと考えたとき、特に夫が1・2の所属であると安全管理が第一条件であるということを厳しく言われる。
今回は、2の所属だけれど日本の組織からインターナショナルの組織へ出向、インターナショナルからのルワンダ駐在という形であることから余り立場上うるさく言われない。
その話はさておき、FBでも投稿している私生活は、こんなに広い家に住み、お手伝いやドライバー、庭師まで雇ってなんと贅沢な暮らしをしていることか。
そんなところに掛けるお金があるならクラウドファンディングなんてやってないでそのお金を使え!なんて声が聞こえてきそうな気もする。
途上国の貧しい人を支援するとき、まずお金がなければ何事も進まない。自分の生活を律してようやく困っている人のために仕事ができるというのは基本。
途上国援助をしたければ、まずは自分が稼いで援助に回すのが一番近道、という話はまたいつか。 言い訳ではないが、誤解を解くためにも、そしてアフリカで生活している(というと言いすぎだけど)外国人の生活の一部として。 投稿している写真は、とても広く大きく立派に見えることだろう。
実際、私も初めに見せて頂いた今の家を我が家4人家族には到底広すぎる。 家賃もお高いことでしょう、と、はなから選択肢に入れず家探しを開始。 キガリ中の様々なエリア30件以上見回る。おうちなんて全く興味のない1歳児を連れて。一日に見られても3件。間にお昼も挟み、約束した不動産屋に待たされたりすっぽかされたりしながら。
そして、気付いた。物件がとても限られていること。住めるエリア、セキュリティのレベル、インフラに問題がないこと、家具が付いているいないの条件、家賃。ぜーんぶひっくるめて、 ここよりコスパのいいところはない。
ということで戻ってきたこの家。 ちなみに、こうでない家を選ぶとどうなるか、というと外国人=ドルを持っている人。やはり標的になることは間違いありません。
駐在者コミュニティーでも話題になる、どのエリアでどんな犯罪が起こったか。外国人は目立つので住んでいる場所を特定されると壁に穴を開けて侵入されることもあります。 不在の間、夜間に貴重品や電子機器を盗まれることも。
外国人居住エリアとセキュリティーはいくら安全と言われる国でもそこは、途上国。外国人としての行動をわきまえていないといけません。
それでも、写真では余りわからないでしょうが立て付けは悪く閉まらないドア、落ちてくる天井、隙間の空いた壁。穴の開いた網戸。一段一段均等な高さでない階段。
そしてそれでも水が出なくなったり、逆に圧が変えられず止まらなくなったり、電気が安定して供給されなかったり、あちこち修理しないといけないままだったり。
日本に居ても同じ様なトラブルはあるのかもしれませんが、それが現状。ぶっちゃけて、NGO職員のお給料では、決して贅沢しているほどの家賃は払っていません。
この国、家賃もあってないようなもの。交渉してこんなに下がるのか、というところまでぎりぎり交渉して、ピンキリありますが、 東京で日本の賃貸マンションに住んでいるのと変わらないよりか家具と必要最小限の家電を付けてもらった分を考慮するとやや上、くらいのものなの。 (本当は我が家も前住人はもっと肩書が上の方だったので家賃はかなり高く取られていたが、夫に合わせてオフィスが頑張って交渉してくれたのでこの結果。)
どうしてそうなるのかというと、アフリカに来る外国人を思い出して下さい。援助関係者は、家賃補助が出る。なので、個人が全額払わなくてもいいことを知っている 不動産会社は補助金に合わせた家賃を要求してくる。これが、開発援助の世界で起こるビジネスの一つ、だと思います。
なので、補助が出ない企業家や極小NGOなんかは、 セキュリティの制限がないためエリアやセキュリティを妥協して選ぶしかない。(アメリカは一番セキュリティが厳しく、エリアも狭まる) つまり、海外から大荷物と共に引っ越しそのうえ子どもでも居ようものなら大変なイベント。 余程情報通でない限り、大抵は同じ職場で握っている物件を組織内で回すことになるのです。
そしてお手伝いさん、庭師さん、ドライバーさん。これらの現地雇用は、個人によって雇っている人いない人がいます。
でも、外国人駐在者の家は、個人の一件屋でも立派な就職先です。 数年は安定した給料が得られて時には野菜だの、洋服だの、おすそ分けがもらえて、あわよくば次の就職先も探してもらえる。
この人たちを雇わない場合、 舗装されていない道から風が吹くたびに入り込む赤土に泥まみれになる家中をきれいにするためには一日掃除で日が暮れます。
雨期には草がぼうぼうになり、 子どもたちが虫に刺されたり蛇にかまれたりするリスクは上がります。
日常生活を回すためには必要な雇用とも言えるのです。
全く環境の違う国で、自分の理由ではなく赴任した妻にとってその生活を出来る限り楽しく前向きに頑張ろうとすることは、たやすいことではありません。
全く知らない人と一からの人間関係。一からの地域開拓。英語のブラッシュアップ。夫の仕事が滞りなくいくよう家庭を保つこと。一か所では済まない 買い物を計画立ててガソリンの無駄が無いように一週間回すこと。何かあったときに頼れる先を作っておくこと。自分のモチベーションと精神衛生を保つこと。
そのために減らせるストレスは、減らすことも必要不可欠なのです。そして、雇用を作り出す。 しかしこれがまた、人を雇うことも簡単ではありません。
特に日本人にとって、使用人が一日自分の家に居ること自体不馴れなこと。
生活のほぼすべてを見られる訳ですから、信頼できる事が一番の条件になります。人対人。物の頼み方、自分のやり方を覚えてもらうこと、 やって欲しい事と欲しくない事のすみわけを理解してもらう事。
これは、文化やお国柄、もとよりポテンシャルにもよりますが、なんせ大変です。
ちなみに、私の場合ですが、今お願いしている彼女の第一印象はこんなに若くて愛想が無くて大丈夫かな?というのがホンネ。しかも英語が堪能でない。 フランス語またはルワンダ語またはスワヒリ語。
なので、意思疎通はジェスチャーとお絵描きと辞書、または通訳(笑) 言葉はあまり通じないんだけど、相性がいいのか、なぜか割りとコミュニケーションはスムーズです。
ま、それでもたまに「あー、、、、こうなっちゃうのね。」 なんて残念な結果は往々にして起こります。
服が縮んだ、色移りした、穴が開いた、日本から持ってきた大事な包丁がかけた、諸々。
伝えてあげなければ伝わらないこちらの常識、伝える労力と忍耐力必須。
そして、どんなに気を遣って雇っている人の家族にまで気を配って生活をしていても離任の際となると人が変わったり今までたったの数年だけれど心から信頼を築いてきたと思っていた人が豹変したりする話は残念ながらよく聞きます。
これは、やはり支援する側される側という重く長い歴史が関わっていると考えざるを得ません。
そしてそれを分かっていても給料を支払う側、支払われる側の立場ではお友達、にはなれないのです。 ここが悲しいポイント。もしも最期に例外を運良く作ることができたら私は幸せ☆