出張を振り返り、皆さんに宣言したいこと

 2週間の出張を振り返るなかで、かつて現地に居住していた頃に<外国人の駐在仲間と話をしていた時のこと>を思い出しました。
 それは「自分は、まるで彼らからすると“歩くATMだ”」という言葉。
 これは、経済格差がもたらす貧富の差から、外国人(駐在している)がルワンダ人からお金を要求される場面が多いことにうんざりして、自分を人間として扱ってもらえない瞬間に人として不快感を覚えたことをジョークとして話した会話の中での一言。
 もちろんたまたま、先進国の人間として生まれてきたことで、アフリカに来るとお金持ちかの様になってしまい、お金を渡してあげることや寄付をすることは快くする人であっても、住んでいると色んな人に出会い、あまりにも自分をお金としてしか見てくれない現地の人との人間関係に心がささくれてしまうことがあります。
 だから、現地に住むと、現実と向き合うことが時々嫌になったり見ないようにしたりしていたかもしれません。感じることが日常に入り込むと自分の心が苦しくて生活ができなくなるから。
 日本にも経済格差があって、貧困に苦しんでいる人がたくさんいます。
 私は、ユーモアで語るのが苦手なので真面目にそういう話をするとどうしても空気が重くなりがちです。
 でも、子どもたちの未来を考えると自分の家族だけが幸せに生きていればいいのでもないし、社会の未来ばかり考えて自分の子どもたちが幸せでないのもいけないし、正直これ、母としては塩梅が難しいところです。

 でも、この“歩くATM”だと見られない友達関係を、例え経済格差があっても築ける人も中にはいて、それは、少しずつ、言葉を超えたやり取りを経て築いていくもの。
 今回の渡航でこの経済格差と信頼感、ほんとの草の根の支援、これがINSHUTIとして根付いてきていることを確認してくることができました。
 経済格差があるからこそ、小さなビジネスですが、インパクトは思っていた以上にあったということ。
 例えば、工房を取りまとめてくれているそれぞれの取引先のトップはルワンダの中ではしっかり中間層に足を踏み入れていること。その足掛かりにINSHUTIの発注が多くを担っていたこと。
 INSHUTIになる前の段階で私自身が紹介して繋いできた人脈と信頼が多くの人を繋いできた結果、代表を始め彼女が雇っているテイラーさんたち、あるいは生地の仕入れに奔走してくれている協働者が抱える家族の生活をINSHUTIが支えているという現実もそこにはありました。

 その日の食べ物を売春婦としてではなく裁縫で。物乞いではなく、学びからでも少しずつ積み上げて。自分の欲しいものは少しで我慢して家族へ仕送りを。兄弟の教育費を。
 ほんの微かで自分の満足と他者への想いやりとのバランスをとって頑張っている若い女性たち。
 彼女たちの健気な日々を応援したいし、自分も励まされるし、心で繋がれる人と着実に仕事をしていく、そんな日々を重ねていきたい、と改めて感じました。

 そのためにも出来ればルワンダ国内で、現地工房に技術移転やアドバイスをしてくれる人を長期的に探していたのですが、今回の渡航で、奇跡的な出逢いもありました。
 ルワンダ人で日本人が過去に行った技術移転のプロジェクトを受けた後、日本人の指導を受けて邁進してきた若い男性テイラーDeo。
 彼のことは、日本人からも紹介を受けていたのですが、実際に会ったことがなかったので安易に進めず。
 でも今回の渡航で偶然にも出会い、話ができたことは、神様が引き合わせてくださったのだとしか思いようがないくらい偶然の連続が重なってのことでした。

 彼との新しい仕事と、現地での縫製指導プロジェクトでこれからも必要なところへ必要な支援が届くように、あくまで一緒に仕事をすることで動いていきたいと思っています。

 こういった活動や雇用創出が、信頼し合い共に仕事をしている仲間の家族・子供達の教育の機会に繋がっています。
 教育へのアクセスやその質については、ゆくゆくリサーチを進めていきたいところでもあります。
 でも、一歩一歩、とにかく焦らず自分が顔の見える範囲でしっかり活動して参りたいと思っております。

 ベースにあるのは、世界の経済格差による富を持つ国に生まれたから偉いのではなく、また持たない国に生まれたからそれを分け与えてもらって当たり前、でもなく、分け与えてあげる事を悦に感じるための事業でもなく。
 善き心で真摯に付き合うことで生まれる波及に心身ともに癒されて尊厳を持った生き方に力を添えられるチャンスがあることを信じて事業を回しています。
 そういった多様な立場を越えて共に生きられる真の人間同士の付き合いができるかどうか、にチャレンジする事業としてINSHUTIは存在しています。

 日本で生活していれば、それは気づけなかったかもしれない。でも、世界には戦争や貧困を乗り越えるどころか、それと共に生きていかねばならない運命の人もいます。
 それをどれだけ自分ごととして捉えられるか。それによって世界情勢を変えることもあるということと、一人一人がしっかり向き合えるように。そのためにINSHUTIは、皆さんの生活を彩る商品をお届けします。
 そしてみなさんと、面白いこと・ワクワクを共有していきます!違うから難しい、のではなく、違うから面白い!

Follow me!